ケアマネを「何でも屋」にしない。
りふりケアプランセンターが考える、
介護のこれから
- りふりケアプランセンター
介護支援専門員菅原 揚子
堀内 るみ
中 清彦 - 企画部 本部長
山縣 信幸

ケアマネージャーは、介護を必要とする方ができる限り自立した生活を続けられるよう、ご本人やご家族の状況に応じて適切なサービスにつなぐ仕事です。
本人の希望、家族の負担、医療との連携、経済的な事情、住まいの環境。現場には、介護保険の枠だけでは整理しきれない相談や依頼が日々寄せられています。
そうした中、りふりケアプランセンターが大切にしているのは、ケアマネを「何でも引き受ける人」にしないことです。
必要な選択肢を整理し、ご本人・ご家族・事業所・地域をつなぐプランナーとして、ケアマネが本来向き合うべき仕事に時間を使える環境づくりに取り組んでいます。
企画部部長としてりふりケアプランセンターの運営に携わる山縣信幸さんと、ケアマネージャーの菅原揚子さん、堀内るみさん、中清彦さんに、現場のリアル、制度の限界、そしてこれからのケアマネに必要な視点について話を聞きました。
Profile
菅原 揚子
りふりケアプランセンター
管理者/主任介護支援専門員2001年よりケアマネジャーとして介護支援の現場に従事。2002年より株式会社癒しの森 取締役部長・専務取締役を歴任、2018年に株式会社明日 代表取締役就任。2024年よりりふりケアプランセンター管理者。25年以上にわたり培ってきた経験を生かし、高齢者が最期まで自分らしく、自分の意思で暮らせるよう支援を行っている。

堀内 るみ
りふりケアプランセンター
介護支援専門員/理学療法士/介護福祉士18歳から高齢者支援に携わり、通所介護で働きながら理学療法士資格を取得。宮崎の地域医療で急性期~生活期リハを経験し、通所リハ・訪問看護リハにも従事。現在はケアマネジャーとして、臨床経験に基づく専門的視点で利用者・家族の要望に寄り添い、困りごとが少しでも軽くなる支援を心がけている。
中 清彦
りふりケアプランセンター
介護支援専門員/介護福祉士2000年の介護保険制度開始と同時に介護職としてのキャリアをスタート。訪問入浴やデイサービスでの実務経験を経て介護支援専門員となり、2024年よりりふりケアプランセンターに入職。常に相手の話に真摯に耳を傾けることを大切にしながら、利用者・家族の気持ちに寄り添ったきめ細やかな支援に努めている。
山縣 信幸
シグニフィ株式会社
企画部 本部長長年アパレル業界にて営業責任者、事業部長、営業統括室長などを歴任。ブランディングのコントロールや店舗運営管理、利益改善などに携わった後、シグニフィ株式会社へ。これまでの知見を活かし、直営デイサービスの収益改善や多店舗展開、新規業態デイサービスのM&Aなどを通じて、介護業界の課題解決に取り組む。

きっかけは、
「生活全体を支えたい」という思い
まず、りふりケアプランセンターを立ち上げた経緯から教えてください。
![]() | 2022年に「生活リハビリデイサービスりふり亀有店」を立ち上げてから、日々、地域の高齢者の生活を支えてきました。一方で、デイサービスにいられるのは限られた時間です。ご自宅で過ごす間の動きやご家族の負担など、利用者さんが施設に来ている時間だけでは見えない課題もあると感じていました。利用者さんの生活全体の質や健康に貢献できるサービスを提供するために、介護保険という枠にとらわれずに何かできないか模索していたところでした。 そんな時に出会ったのが堀内さんです。ケアマネであり、理学療法士として訪問看護の経験もある。この人と一緒ならもっと現場に近い支援ができるかもしれないと思い、最初は冗談半分で、「一緒にやりませんか」と声をかけたんです。 |
![]() | 初めてりふり亀有店を訪れたとき、「すごい!」と衝撃を受けました。カフェのような明るい雰囲気の中で、理学療法士や看護師などの専門職の方が多く働いていて。介護の現場はどうしても暗いイメージを持たれがちですが、ここは少し違うと感じました。その後しばらく時間が空いたのですが、自分の中で働き方を考えるタイミングがあって、山縣さんに「あの話、生きていますか」と連絡しました。当時一緒にやっていた菅原さんにも話をして、一気に話が進んでいったんですよね。 |
![]() | 一緒にやろうと思えたのは、利用者さんが望む形で生活を整えたいという思いが一致したからだと思います。介護保険の中だけでできることにはどうしても限りがあります。保険内外のサービスや地域資源も含めて、利用者さんをどう支えていくべきか、一緒に考えていけると感じました。 |
![]() | 僕はちょうど、前の会社を辞めてケアマネージャーをやろうと思っていた時期でした。今までの介護業界の固定観念を破ってくれそうな会社だな、新しいことに挑戦できそうだなと思ったのを覚えています。 |

ケアマネージャーは、「全部やる人」ではなく、
「役割を整理する人」
ケアマネは業務量が多く、忙しすぎるという話もよく聞きます。そこにはどのように向き合っているのでしょうか。
![]() | 介護保険が始まった当初から、ケアマネージャーは万能職のように見られがちでした。制度のはざまにある業務まで押し付けられる傾向があって、それが膨大なシャドーワークを生んでいると思っています。 でも、ケアマネージャーはあくまでもプランナーです。本人ができることは本人がやる。次に家族がやる。それでもできないことを、介護保険サービスやその他のツールを使って解決していく。何でも抱え込むことが良い支援とは限りません。 |
![]() | 菅原さんは、そこをはっきり言える人なんですよ。「それはケアマネージャーの仕事ではないですよね」と、ご家族にも病院側にも伝えられる。 一方で中さんは、相談されたら何とかしてあげたいという気持ちがすごく強いタイプです。時間をかけて話を聞いて、納得してもらうように持っていく。同じケアマネでも、本当に違うなと思います。 |
![]() | 菅原さんの考えは、もちろんよくわかります。でも、相談を受けたからには、自分が手伝えるところは手伝ってあげたいと思ってしまうんです。 保険外で使えるサービスを探すことは、自分の知識にもなりますし、別の利用者さんに提案できることもある。そこは諦めたくないんです。 |
![]() | そこが難しいところですよね。ケアマネさんも本当に人によるので。同じような相談でも、3人ともやり方が違うと思います。 |
![]() | 中さんの気持ちもわかりますけど、自分の身をすり減らしてまでやるのは違うと思っています。ケアマネージャーは専門職です。必要な仕事を押さえた上で、その人の状況に応じてプラスしていけばいい。相手に引っ張られすぎて自分の精神が持たなくなるような働き方はしてはいけないと思っています。私も以前「それはケアマネージャーの仕事ではありません」と言って、担当を切られたことがあります。もちろん、私も人間なのでものすごくへこみます。でも、ケアマネジメントの原理原則をしっかり伝えなければいけない場面もあるはずです。 |
![]() | はっきり線を引く人もいれば、じっくり話を聞いて選択肢を探す人もいる。キャラクターもスタイルも本当に三者三様ですが、違う意見や立場の人が一緒にいて、対話しながら仕事をすることはすごく大事だと思います。 |

制度外の提案は、
売ることではなく選択肢を増やすこと
介護保険だけでは対応しきれない困りごとに対して、自費サービスや社会的資源をどう考えていますか。
![]() | 正直、葛藤は常にあります。利用者さんやご家族の経済状況を知っているからこそ、「これを提案することが本当にその方のためになるのか」と迷う場面は少なくありません。 ただ、ケアマネージャーとして大切なのは、選択肢を提示することだと思っています。制度内では諦めるしかないことでも、「こういう方法なら実現できるかもしれません」と伝える。それはプロとしての仕事だと考えています。 |
![]() | 通院の付き添いや大掃除のように、一見小さく見える困りごとでも、それができないことで生活全体が崩れてしまうことがあります。介護保険は最低限の生活を支えるものですが、実際の暮らしには制度外の困りごとも多いんですよね。 |
![]() | ケアマネジメントには公正中立という理念があります。一方、実際にはケアマネの事業所を経営する母体は株式会社であることも多いですよね。その二面性を乗り越えるには、より良いサービスを展開することだと思っています。 自社のサービスが、自他ともに認める良いサービスであるならば、その利用を提案することも利用者のためになるはずです。介護保険と自費サービスの両面から、必要な選択肢を正直に伝えることが大切だと考えています。 |
一人で判断しない。
多様な視点を借りられる強さ
シグニフィでは多様な職種の人たちが働いていますが、りふりケアプランセンターでどう生きますか。
![]() | 福祉用具ひとつ選ぶにしても、ただ手すりをつければいい、ベッドを入れればいい、というだけの話ではないんです。ご本人の身体の状態だけでなく、家の環境や家事の動線、家族の生活まで見ます。なぜなら、一緒に住んでいる家族が生活しづらくなるようなら介護は続かないからです。 退院するとき、「ここにも、あそこにも手すりをつけて」と提案されることがありますが、家には家具や家電があって、家族が行き来する動線があります。良かれと思って手すりをたくさんつけても、家族の動線の邪魔になってしまい、かえって暮らしにくくなることもあるんです。 |
![]() | その視点は堀内さんの理学療法士としてのスキルが生きていますよね。福祉用具は、体の使い方や在宅での生活がわかっていないとうまくいかない。ケアマネージャーが事業者に言われたことをそのまま受け取ってしまうケースもありますが、堀内さんは「これはいらない」と言える。長く在宅の人たちを見てきたからこそ判断できる部分があります。 |
![]() | 自分とは違う視点が入ると、自分だけでは見えていなかった選択肢に気づけます。利用者さんにとって何が必要かを考えるとき、職種や経験の違う人に相談できるのは心強いです。 |
![]() | 会社としても、現場の業務を整理し、利用者さんに向き合う時間を増やすことを大切にしています。ケアプランセンターでも同じで、ケアマネが孤立せず、多職種の視点を借りながら判断できる環境を作ることが大切だと考えています。 |

本音を聞く仕事だから、
人に向き合う時間を大切にする
アセスメントでは、どのようなことを意識していますか。
![]() | できるだけ「聞き取るぞ」という空気を出さないようにしています。自然に話しやすい状況をつくることが大事です。初回の面談が終わった後に、これからともに進むパートナーとして握手を求めることがあるのですが、険しい顔をしていた方が、握手の後ににこやかな表情に変わることも多いですね。 |
![]() | 私は雑談を大切にしています。好きなものの話や、昔の仕事の話など、たわいない会話の中に本音が隠れていることがあるからです。本人だけでなく、ご家族の思いも引き出せたらと考えています。 |
![]() | アセスメントでは、利用者さんが「何を言ったか」と同じくらい、「何を言わなかったか」も意識しています。言葉では「大丈夫です」とおっしゃっていても、冷蔵庫の中身、薬の残り方、家の中の動線に、問題点が隠れていることがあります。 信頼関係を築きながら、利用者さん自身も気づいていない本当の望みを探り当てる。そこに、プロとしての難しさと醍醐味があると感じています。 |
在宅での看取りまで見据え、
家族の限界も考える
在宅での看取りや終末期の支援については、どのような視点が必要でしょうか。
![]() | アドバンス・ケア・プランニングの視点は大切です。その人が最期をどう迎えたいのか。家で過ごしたいのか。家族はどこまで寄り添えるのか。直接的な言葉で聞くわけではありませんが、日々の会話や関係性の中で、本人の意向を少しずつ確かめるようにしています。 ※アドバンス・ケア・プランニング:もしものときのために、本人が望む医療やケアについて前もって考え、ご家族や医療・ケアチームなどと繰り返し話し合い、共有する取り組みのこと。 |
![]() | 本人の希望と家族の希望が違うこともありますよね。本人は家にいたいけれど、家族は限界に近い。そういうときに、どこで折り合いをつけるかはとても難しい問題です。本人のことだけでなく、一緒に過ごしている家族、頑張って支えている家族の気持ちも聞くようにしています。家族の心が折れてしまうと、在宅での生活は続けられなくなるからです。 |
![]() | 利用者さんが嫌な思いをしながら過ごしてほしくないと思っています。人生の最後まで関わる仕事だからこそ、表面的な希望だけでなく、その人が何を大切にしてきたかを知ることが大事です。会話の中で、その人が大切にしてきたこと、楽しかったこと、楽しみにしていたことを聞いていく。その上で、少しでもその人らしい生活を送っていただくために、どんなサービスやお手伝いができるのかを考えたい。日々の会話の積み重ねが、後の判断につながるのだと思っています。 |
![]() | 利用者さんの希望を叶えるには、医療、介護、家族、地域の連携が必要不可欠です。ケアマネには、制度の知識だけでなく、周囲と連携し、先を見通して調整する力が求められるのです。 |

経験者にも、これから学ぶ人にも
期待したいこと
最後に、りふりケアプランセンターで一緒に働く人に期待することを教えてください。
![]() | ケアマネはあくまでプランナーであるということを忘れない人がいいですね。社会福祉の理念と、ビジネスとしての立ち位置。その両方をバランスよく持てる人。決して自分をすり減らして働く人がケアマネとして優秀なのではありません。目的意識をしっかり持った、明るくしなやかな人。そんな人と一緒に仕事がしたいです。 |
![]() | 人生に関わる仕事だからこそ、知識だけではなく、対面で向き合う温度感も必要だと思っています。 自分とは違う視点を持っている方は大歓迎です。多様な考え方があるからこそ、新しい気づきが生まれます。お互いの視点を尊重しながら、一緒に悩んでいける仲間がいいですね。 |
![]() | 現状に疑問を持ち、変化を楽しめる人と働きたいです。違和感をそのままにしたり、「今までこうだったから」で終わらせたりせず、「もっとこうすれば利用者さんは喜ぶのでは」と柔軟に考えられる方。介護業界には、まだまだより良くできる部分があると思います。 |
![]() | 三者三様のケアマネがいて、それぞれの視点を出し合えることが、利用者さんにとっても、働く人にとっても大事だと思っています。 そのうえで、現場の人が「人にしかできない仕事」にちゃんと時間を使える環境を整えたいと考えています。利用者さんやご家族の話を聞くこと、生活の変化に気づくこと、必要な支援を考えてつなぐこと。そうした仕事に向き合う時間を、仕組みとして確保していきたいです。 |

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