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Talk Session

ITと介護、二つの現場をつなぎ、
新しい仕組みをつくる
シグニフィが目指す
「現場の知見をサービスに変える」働き方

  • シグニフィ株式会社
    代表取締役社長

    髙田 志郎

  • 最高執行責任者(COO)

    芹澤 武

  • 最高技術責任者(CTO)

    菱沼 誠

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シグニフィは、「ひと」と「技術」で現場の課題に向き合ってきた会社です。
システムソリューション事業では、お客様の現場に入り込み、業務や組織の課題を理解しながら技術支援を行ってきました。
ヘルスケア事業では、デイサービスを運営し、利用者さまと向き合う時間を大切にしながら、日々の業務改善に取り組んでいます。
一見すると異なる分野ですが、両者に共通しているのは、「現場で起きていることを正しく把握し、個人の経験や努力だけに頼らず、仕組みとして解決していく」という考え方です。
現在、シグニフィは、DB技術顧問サービス、りふりDX、業務標準化、オブザーバビリティなど、構想・検証段階のものも含め、現場で培ってきた知見をより多くの企業や事業者に届けるための挑戦を進めています。
ITと介護、それぞれの現場で得てきた知見をどうつなぎ、どうサービスに変えていくのか。まさに今、その仕組みをつくっている段階です。
シグニフィの現在地とこれからの展望について、代表取締役の髙田志郎さん、システムソリューション本部執行役員の菱沼誠さん、ヘルスケア事業本部執行役員の芹澤武さんの3名に話を聞きました。

Profile
  1. シグニフィ株式会社
    代表取締役社長・最高経営責任者(CEO)
    髙田 志郎

    大学卒業後、流通卸、ソフトウェア企業、ITベンチャーにて営業・事業開発・組織運営を経験。社会インフラ整備やERP事業拡大に携わり、部長職として事業成長を牽引した。
    2009年にシグニフィ株式会社を設立し、デザイン制作とシステム開発を基盤に企業の業務改善やサービス設計を支援。2018年より介護事業「りふり」を開始し、現場運営と仕組みづくりを統合した地域支援モデルを構築。
    現在は通所介護4拠点・居宅支援1拠点を展開し、社員128名・売上10億規模の組織を率いている。営業・IT・社会インフラ・組織づくり・介護を一本の線でつなぎ、技術と現場の両面から「まだない価値」の創造に挑み続けている。

  2. ヘルスケア事業本部 執行役員
    最高執行責任者(COO)
    芹澤 武

    1998年より老人保健施設にて介護キャリアをスタート。入所・通所サービスの両領域で、移動・入浴・食事介助から機能訓練補助まで幅広い現場業務に従事し、日勤・夜勤双方を経験。その後、理学療法士の資格を取得し、高齢者ケアの専門性を高める。
    2017年にシグニフィ株式会社へ入社し、「生活リハビリデイサービスりふり」の立ち上げを担う。管理職として施設運営と組織基盤強化を推進するとともに、接遇・生活介助技術の標準化に向けた独自の介護技術研修プログラムを開発。現在は、個別リハビリと入浴を融合した新規デイサービス事業および研修プログラムの外販プロジェクトを統括し、介護業界全体の質向上に取り組む。2023年ヘルスケア事業本部長兼管理統括本部長、2024年執行役員就任。

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  3. システムソリューション本部 執行役員
    最高技術責任者(CTO)
    菱沼 誠

    大学院修了後、公的機関での勤務を経てIT業界へ転身。サーバーの運用保守などのインフラ領域からキャリアをスタートし、その後データベースエンジニアへ転向。15年以上にわたり、データベースの設計構築・運用・保守に深く携わる。
    2012年にその高い専門性を評価されシグニフィ株式会社に入社し、長年にわたり中心的なエンジニアとしてプロジェクトを支えている。チーム、サービスとして提供できるデータベース技術顧問サービスを開発。また、顧客に対してインフラやデータベースをリアルタイムで詳細に把握できる基盤を構築・運用し、オブザーバビリティをサブスクリプションで提供するサービスを開発中。2022年システムソリューション本部1部部長、2025年執行役員就任。

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1社に深く入り込む技術支援から、
1対Nの価値提供へ

これまでの技術支援と、現在目指している「1対N」の価値提供には、どのような違いがありますか。

これまでの技術支援は、エンジニアの時間と技術を一社に提供する、いわば1対1のモデルでした。
お客様の現場に深く入り込み、信頼関係を築きながら技術支援してきたことは、私たちにとって大きな強みです。一般的にはSESと呼ばれる領域ですが、私自身はその言葉があまり好きではなくて、技術で現場に伴走する仕事だと考えています。
極端な話、言われた作業をこなすだけでも仕事として成立してしまう現場はあります。でも、それだけではお客様の期待を超えることはできません。自分が持っている経験やノウハウをどう生かせるか、お客様の課題に同じ目線で向き合えるか。プロフェッショナルとして100%以上のものを提供しようというマインドで動ける人は、どの現場でも評価され、信頼を得ていくものだと思っています。
※SES:エンジニアがお客様先のプロジェクトに入り、技術支援を行う働き方の一つ。
この記事では、単なる人員提供ではなく、現場伴走型の技術支援という意味合いで扱っています。
実際、現場に入るからこそ見えてくる課題はありますし、長く伴走することで関係性も知見も蓄積されます。一度太い関係性を築けると、現場を離れた後も別の相談につながることがありますよね。技術やスキルだけでなく、お客様の仕事ぶりや意思決定の仕方、会社ごとの文化まで近くで見られるのは大きな経験だと思います。
ただ、一人のエンジニアが支援できる範囲には限界があります。現場の中で見えるお客様の課題は、多くの企業に共通する課題でもあります。だからこそ、現場で得た知見を個人の経験だけにとどめるのではなく、サービスとして多くのお客様へ届けられる形にしていく必要がある。現場での経験の積み重ねが、「1対N」の価値提供や新しいサービスづくりにつながっています。
現在準備を進めているDB技術顧問サービスも、DB構築などの現場で得た知見を、一社だけでなく複数のお客様に届けていこうという発想から生まれています。
それは介護の現場でも同じです。会社の行動指針にも「解決のカギは現場にある」とありますが、現場を知らなければ、その先のことは見えてきません。
介護は人の手が必要な仕事です。すべてをITに置き換えればいいというわけではありませんが、人が本来向き合うべきところにきちんと時間を使えるようにするために、仕組み化できることはあるはずです。時間を売る働き方から、価値を届ける働き方へ変えていく。そこに、私たちが取り組む意味があると思っています。
※シグニフィの行動指針:「挑戦すること、継続すること、変化すること。いつも現場主義(解決のカギは現場にある)。」
その考え方は、ITも介護も本質的には同じですね。個人の経験や勘に依存しているものを、誰でも再現できる形に変えていく。エンジニアの知見も、介護現場の知見も、サービスという形にできれば、もっと多くの人の役に立てるようになると思います。

介護DXと業務標準化。
「現場が楽になる」ことから始める現場改善

介護の現場では、どのような課題を仕組みに変えようとしているのでしょうか。

介護の仕事で一番大事なのは、利用者さんと向き合う時間です。でも実際には、それ以外の仕事が本当に多いんです。
介護報酬に関わる書類はもちろん、それ以外の業務もたくさんあります。翌日の送迎表、スタッフの配置表、食事の発注、利用者さんに関わる情報整理。こうした業務は、利用者さんがいない時間帯や業務後にやらなければならないことも多く、現場の負担は大きくなります。
しかも、それらの仕事は、「この人だから回せている」という状態になりがちです。経験や工夫で何とか成り立っていても、その分、負担が特定の人に集中してしまう。私は、その状態を当たり前にしてはいけないと思っています。
現在進めている「りふりDX」や業務の標準化は、そうした現場の業務負担を整理し、日々の業務を回すために必要な書類や情報の流れを整理し、仕組みに変えていく取り組みです。ボタン一つで必要な書類が作成できるようにする。必要な情報を探しやすくする。まずは自社の現場で使い、必要に応じて他の事業所にも試してもらいながら改善していく。そうした小さな改善の積み重ねで、スタッフが利用者さんに目を向けられる時間を増やしていきたいと考えています。
そこが、シグニフィらしいところだと思っています。外から想像して「こうすれば便利だろう」と提案するのではなく、自分たちの現場で実際に起きていることから始められる。だから、机上の空論ではない改善ができるんです。
ただ、ITと介護が一緒に何かをつくるのは、簡単なことではないですよね。現場の要望をどこまでシステムで実現するのか、逆に何を人の手で残すのか。現場のことを優先する部分と、システムの都合を考える部分を切り分けるには、両方の理解が必要です。
技術者にとっても、そこは大きな経験になります。介護の現場で何が負担になっているのか、どこに改善の余地があるのかを知ることは、単にシステムを作る以上の学びになる。顧客の課題解決にアンテナを張れるSEを育てるという意味でも、こうした自社プロジェクトには大きな価値があります。
まずは自分たちの現場で試し、実際に使いながら改善する。そのうえで、他の介護事業者にも応用できる形にしていく。自社の現場で実証したものを業界全体に還元していければ、介護業界全体の負担軽減にもつながるはずです。

見える化が、現場の安心につながる。
オブザーバビリティを介護にも生かす

りふりDXや業務標準化の先に、オブザーバビリティの考え方はどのようにつながりますか。

オブザーバビリティは、簡単に言うと「今、何が起きているかを見える状態にする」考え方です。システムの世界では、サーバーやDBの状態を細かく把握し、トラブルが起きる前に兆しを見つけて対応するために使われます。
単なる死活監視、つまり「動いているか・止まっているか」を見るだけではありません。どこに負荷がかかっているのか、なぜ遅くなっているのか、どこに問題の芽があるのかを、データから把握できるようにする。構想しているオブザーバビリティサービスは、その基盤をサブスクリプションで提供し、お客様が自前で大きな監視体制を持たなくても、安定したIT環境を保てるようにしたいというものです。
現在は、現場での課題整理と実証を進めている段階ですが、開発に向けた準備も進んでおり、まもなく着手できる見込みです。
※オブザーバビリティ:システムや業務の状態をデータで観察し、問題の原因や予兆を見つけやすくする考え方。
その考え方は、介護にも通じますよね。もちろん医療・法的な整理が必要な領域もありますが、たとえば介護現場のセンサーデータや稼働状況を分析することで、スタッフの負担軽減や事故の未然防止につなげられるかもしれません。ITで培ったオブザーバビリティの思想を、介護の現場の安心のために応用していく。そこにシグニフィならではの可能性があります。
介護の現場でも、何か起きてから対応するのでは遅いことがあります。すでに、利用者さんのお休みの理由、ケアマネジャーさんからの問い合わせ、見学や契約につながった件数など、日々のデータは少しずつ蓄積しています。まず見たいのは、利用者さんの状態に変化がないか。次に、日々の業務が無理なく回っているか。そして、スタッフの負担が偏っていないかです。
現場にいれば感覚的にはわかりますが、数字や仕組みとして見える状態にはなっていないことが多い。だからこそ、ITの可視化やオブザーバビリティの考え方には可能性があると思っています。介護は人が人を見る仕事ですが、現場の安心を、経験や勘だけではなく、データや仕組みでも支えられるようにしたいですね。
今の話を聞くと、ITでやってきたことをそのまま介護に持ち込むのではなく、介護の現場に合わせて翻訳していくことが大事ですね。見たいもの、守りたいものは何か、現場の声を聞きながら設計する必要がありそうです。
まだ構想段階のものも多く、すべてがすぐに完成するわけではありません。ただ、ITの現場で培った知見を、介護や地域社会の現場にどう生かせるかを考え続けることに、私たちがこの事業をやる意味があると思います。

技術者にも、介護職にも。
未完成だからこそ関われる余地がある

これから入社する人には、どのようなところに面白さを感じてほしいですか。

エンジニアにとっては、自分の技術を一つの現場だけで終わらせず、サービスとして広げていけるところが魅力だと思います。DB技術顧問サービスも、オブザーバビリティサービスも、まだつくっている途中なので、アーキテクチャや提供方法から一緒に考えることができます。職人気質と好奇心の両方を持っている人には、手応えのある環境だと思います。
あとはやっぱり、介護事業という自社の現場があることは面白いですよね。実際の現場に入り、業務を見て、何が負担になっているのかを自分ごととして捉えられる。そうした経験は、エンジニアとして顧客課題を解決する力にもつながっていくと思います。
以前、エンジニアの方が現場に入って、私たちが使っていたものをシステム化してくれたことがありましたよね。今でもそのシステムを使っていて、その一つの改善だけでも現場は働きやすくなったんです。
そうやって現場に入ってくれると、私たちが困っていることを直接見てもらえますし、「こうすればできるよ」と技術者の視点で提案してもらえる。そうすると、りふりDXも進みやすくなるし、この会社の中でITと介護が本当に近づいていく感覚があります。
もちろん介護職の人にとっても、シグニフィには可能性があります。現場で感じた違和感や課題が、DXやサービスづくりの起点になるからです。普通であれば、その現場の中だけで終わってしまう経験が、会社の次の価値をつくる材料になる。そこはすごく面白いところです。
これから入社する人には、言われたことをこなすだけでなく、自分で考え、意見を持ち、どうすればもっと良くなるかを一緒に考えてほしいですね。
私は、介護の仕事をもっと誇りを持って続けられる仕事にしたいと思っています。「介護をあこがれの職業に変える」と言っていますが、それはきれいごとだけでは実現できません。まずは現場の負担を減らし、専門性が正当に生かされる環境をつくることが必要です。そのために、現場の声を仕組みに変えていきたいです。
シグニフィは、まだ発展途上の会社です。IT、介護、企画、デザイン、それぞれの力をどうつなげていくか。サービスとしてどう磨き込むか。組織としてどう動きやすくするか。まだ取り組むべきことはたくさんあります。完成された仕組みを運用するというより、仕組みそのものをつくる段階に関われる会社だと思います。

3年後・5年後に目指す会社像
技術を売る会社から、安心を支える会社へ

3年後、5年後にシグニフィをどのような会社にしていきたいですか。

2030年を一つのターゲットとして考えています。それまでに、現在取り組んでいることの精度をさらに高め、提供できる付加価値の幅も広げていきたいです。ITの視点から見ても、介護の視点から見ても「面白い」と思ってもらえるような取り組みをしていきたいですし、エンジニアや介護職といった職種に関わらず、それぞれが現場で得たノウハウや専門知識を生かしながら、さらに一歩踏み込んだ付加価値を提供できる集団でありたいと考えています。将来的には、ITと介護の両方の現場で培った知見を掛け合わせ、業界を横断して課題解決を支援できる会社にしていきたいです。
技術側から見ると、まず3年後までには、DB技術顧問サービスを収益の柱の一つにしていきたいです。5年後には、安心を支える基盤、つまりオブザーバビリティのような仕組みが形になっている状態を目指したいですね。
私たちが提供したいのは、技術そのものだけではなく、お客様が安心して事業を続けられる状態です。システムが安定して動く安心もあれば、将来的には介護の現場や利用者さん、ご家族の安心につながる可能性もある。技術を通じて、人の暮らしや安全にも関われるプラットフォームへと発展させていきたいです。
介護事業としては、シグニフィが自社事業として介護を持っている意味を、3年後、5年後にはしっかり形にしていきたいです。りふりの標準化、ノウハウの標準化、DXを進めて、最終的には他の事業者にも役立てられる形にしていく。そのためには、システムソリューション側との連携が欠かせません。
正直に言えば、まだコミュニケーションは足りていません。リソースは揃っているのに、まだ一体化しきれていない。だからこそ、そこがつながれば、会社は大きく変わる可能性を持っていると思います。せっかく自社事業として介護があるのだから、それを使わない手はありません。
車で言うと、まだクラッチがつながっていない状態なのかもしれないですね。早くクラッチをつないで、一緒に回り出そうというところです。それがオートマチックに回り出すところまでいけたら、最強じゃないですか。
きっと、もっと面白くなるはずです。現時点ではすべてがきれいにつながり切っているわけではありませんが、だからこそ、これから入社する人には大きな余地があります。自分の技術をより大きな課題解決に生かしたい人、現場で感じた課題を新しい価値に変えたい人、未完成なものを自分の手で形にしていきたい人。そうした人と一緒に、社会の現場に届くサービスをつくっていきたいと考えています。

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